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外反母趾(がいはんぼし) | |
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外反母趾(がいはんぼし)とは? |
外反母趾とは、足の親指が小指側に変形し、「くの字」になる状態をいいます。主な原因は、合わない靴です。特に、ハイヒールによって外反母趾を生じる女性が急増しています。その他、関節リウマチの合併症としても外反母趾を生じる場合があります。進行すると、普通の靴でも違和感を生じ、歩くだけで痛みがでるようになります。ここでは、前半は外反母趾の病態と原因、後半は予防法と治療法をご紹介します。 |
では、外反母趾の症状を詳しく見ていきましょう。外反母趾とは、母趾(おやゆび)が外反する(小指に曲がる)病態ですが、同時に第1中足骨が内反(内側に広がる)しています。この第1中足骨の内反が外反母趾変形の始まりと考えられています。中足骨が内反する一方で、母趾は逆に靴の先により外側に押し曲げられます。それと同時に母趾内転筋に引っ張られることにより付け根でねじれながら「くの字」に曲がってしまいます。(右図参照)
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さらに外反母趾の多くは、扁平足も伴っています。また足の“縦横のアーチ”がつぶれ横幅の広い開帳足にもなっていることが多く、これも外反母趾の諸症状を生じる要因となっています。 |
外反母趾(がいはんぼし)が進行すると・・・ |
外反母趾の人の足の裏を見てみると、ときに足の人差し指の付け根や小指の付け根などに胼胝(ベンチ;タコ)を形成し、その部位に痛みが生じることがあります。これらの胼胝(ベンチ)は足の“横アーチ”が低下することにより、中足骨頭が足底に突出し、蹴り返し動作の際に中足骨頭に負担がかかるために生じるものです。 外反母趾では親指で蹴り返すことが出来なくなっているため、代償性に他の指(特に第2趾)が蹴り返す役割を担うことになっているのです。 |
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また、親指の付け根の内側の突出部が靴に当たるなどの刺激を受け、“バニオン(Bunion)”と言われる皮下滑液包炎を生じ「はれ」や「発赤」、「疼痛」を伴うことがあります。 さらにその突出部には親指に行く知覚神経が通っているため、その神経が圧迫されることにより親指にしびれや痛みが生じることもあります。 また足の形態異常のため筋力バランスが崩れ、歩きにくく疲れ易いと言った症状も呈します。足のアーチの低下は長期的には足関節の疼痛や変形をも引き起こします。 |
さらに、外反母趾が進行すると親指が第2趾や3趾の下に入り込むようになり、これらの指が持ち上げられると同時に付け根にある関節が背側に脱臼してしまうこともあります。 |
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また、親指は捻じれながらくの字に曲がるため、体重の負荷が爪の側面に加わることとなり、親指の爪は次第に巻き爪となってしまうこともあります。 |
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こういった諸々の症状は、すべて足のアーチの潰れが招いた結果と言っても過言ではありません。 |
外反母趾の原因 (外的要因と内的要因) |
それでは外反母趾はどのようにして生じるのでしょうか、その成因について考えてみることにしましょう。外反母趾の成因には“外的要因”と“内的要因”とが関与していると考えられています。 |
(1) 外的要因 ハイヒールを履くと、足底にかかる体重は前足部に集中します(4.0cmヒールで約1.5倍、9.0cmヒールで約3倍)。その結果、足は横に広がり開帳足になります。 しかしハイヒールの先は細くなっているため母趾は付け根で“くの字”に曲げられ外反変形を生じ、小趾は逆に内反変形を生じるのです。 |
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「Journal of Joint Surgery関節外科 Vol.14 No.9 Sep.1995.より引用」
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もう1つの外的要因として生活習慣があげられます。現代社会においては1日のうちで靴を履く時間が長く、裸足になる時間が減少してきました。また乗り物を利用することが増え、自分の足で歩く機会は逆に減少してきました。 近年では乳幼児の頃から履く靴などもあり、足の筋骨格形成において最も重要な時期に悪影響を与えている可能性があります。本来は乳幼児期には裸足で歩かせたり、鼻緒のある下駄やサンダルで歩かせることが足の筋骨格形成において大切なことなのです。 このように現代社会では足の筋力はどんどん低下する傾向にあり、アーチの消失した扁平足や横幅の広い開帳足が増えて来ています。これが外反母趾を生じやすくしている要因の一つにもなっているのです。 |
(2) 内的要因 しかし中には全くハイヒールもきつい靴も履かないし、外的要因も全く思い当たらないにもかかわらず外反母趾になっている人もいます。このような人には何らかの内的要因があると考えられます。 外反母趾の発生頻度を男女別で調べてみるとその比は1:10と圧倒的に女性に多いことが知られています。これは女性の方が男性より関節が柔らかいことや、筋力が弱いことなどに起因している可能性があります。したがって女性であることが内的要因の1つと言えるでしょう。 また別の内的要因として足の形態的特徴が挙げられます。先天的に扁平足である場合や、母趾が第2趾よりも長いタイプの足(エジプト型と言います)、母趾の付け根の関節(中足骨頭)が丸い形をした人などが外反母趾に成りやすい足の形態と考えられています。また、関節リウマチやEhlers-Danlos症候群のような全身関節弛緩を生じる疾患が基礎にある人も外反母趾に成りやすいと考えられています。 また遺伝的素因については認められておりませんが外反母趾になりやすい足の形態的特徴は親子で遺伝するのでそういう意味では外反母趾は遺伝しやすいと言ってもよいのかも知れません。したがって親が外反母趾の人は注意する必要があります。 |
外反母趾の予防と対策 |
それでは外反母趾を予防するにはどのようにしたら良いのでしょうか?先に述べたように外反母趾の発症には様々な要因が関与していると考えられているので、その予防にはそれらの要因から足を守ってあげることが大切です。その中でも特に靴による影響が大きいのでハイヒールなどの踵が高く先の細い靴をあまり履かないことが大切ですし、普段履く靴も縦横のサイズの合った正しい靴を選ぶことが大切です。足にやさしい靴選びは、下記のページを参考にしてください。
また裸足で歩くことや、下駄やサンダルなどの鼻緒のついた履物を履くこと、さらにタオルやゴムひもを用いた運動を行うことなども足の筋力を鍛える効果があり有効です。また足趾のストレッチを行い関節の拘縮を予防することも大切です。 但し、運動療法は軽症例においてのみ有効で、ある程度進んだ外反母趾にはかえって悪影響を与えることになるので注意が必要です。専門医に御相談下さい。 |
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からだと心の健康トラブルQ&A
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外反母趾の治療 (保存療法と手術療法を中心に) |
それでは外反母趾になってしまったらどのような治療をしたら良いのでしょうか?外反母趾を伴う足は殆んどが多かれ少なかれアーチの低下した扁平足や横幅の広い開帳足となっています。このアーチ構造の破綻が外反母趾の最大要因であると言っても過言ではありません。したがってこのアーチを矯正してあげることが治療において最も重要なことと考えています。 |
歩くと痛い・ヒールが履けない外反母趾、巻き爪の矯正(PDF) 外反母趾を予防し痛みを取り去る足底板による「保存療法」、及び進行した外反母趾の機能回復を図る「手術療法」について、美的平成19年10月号(小学館)P178に掲載された内容です。 |
(1)保存療法 @ 足底板(アーチサポート)療法
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足底板作成の実際は、個々の足を石膏や特殊なスポンジ等で型取りし、足の縦横アーチを適切に形成するための凹凸を位置や高さに注意しながら正確に作成して行きます。 また、胼胝を形成して疼痛を伴うようなケースでは、その部位を除圧するためのくぼみをつけたり柔らかい素材にすると言った工夫を加え、個々の足の状態をしっかり把握した上で、オーダーメイド作成してあげる必要があります。 それには専門の義肢装具士と足を熟知した専門医との協力が必要となってきます。(足底板、装具外来の紹介はこちらへ) |
☆ 足底板(アーチサポート)による効果 以下の4つが挙げられます。 |
@ | 外反母趾などの足の変形の進行予防効果。 |
A | 痛みやシビレ、胼胝形成など、アーチの潰れが原因となる症状の改善効果。 |
B | 歩き易く、疲れ難くなるといった歩容の改善効果。 |
C | 外反母趾の角度やアーチの矯正効果。 |
A その他の保存療法 |
その他の保存療法として親指に装着するバンドや趾間にはさむ矯正装具もありますが、これらは関節の拘縮を予防する効果としてはある程度期待出来るかも知れませんが、外反母趾を矯正するまでの効果は期待できません。 したがってあくまでも補助的な治療具として考えた方が良いでしょう。 |
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(2)手術療法
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今日われわれが行っている主な手術法としてMcBride法に代表される軟部組織矯正術、Mann法やMitchell法に代表される中足骨骨切り術、Keller法などの基節骨骨切り術、関節破壊を認める症例には関節固定術や関節形成術などがあります。 近年では、骨切りを行いながらも局所麻酔で行える日帰り手術(DLMO手術)が、軽度から中等度の外反母趾の手術法として用いられるようになりました。 しかし、すべての症例に用いることのできる単一の手術法はなく、個々の症例に応じて手術法を選択しております。 |
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左の写真は重度の外反母趾の症例ですが、親指が第2・3趾の下に入り込んでしまい、第2・3趾は付け根の関節が脱臼をしています。 手術は外反母趾に対する処置と同時に第2・3趾の脱臼を整復する処置も行う必要があります。 術後の写真では外反母趾の矯正と第2・3趾の脱臼が整復されているのが分かります。 |
術 前 |
術 後 |
外反母趾に対しては第1中足骨の骨切りと母趾内転筋切離、母趾の関節包の縫縮による関節形成といった3つの操作をそれぞれ1つずつの小切開を加えることにより行っています。
第2・3趾の脱臼に対してはそれぞれの伸筋腱をZ延長することにより足趾の背屈拘縮を緩めた後に脱臼を整復し、再脱臼予防のためにしばらくキルシュナー鋼線で仮固定を行いました。 鋼線は術後3〜4週目に外来で抜去しました。
可能な限り小さい皮膚切開で手術を行うことにより、術後の美観は勿論のこと、創傷治癒に要する時間の短縮や、疼痛・腫脹の軽減、術後感染の減少など、術後の経過において多くの利点が得られると考えています。 |
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術 前 |
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術 後 |
外反母趾手術に関するQ&A |
(1)麻酔は? (3)入院期間は? 入院期間は4〜5日で、退院後は外来でフォーローアップします。 |
手術を希望されている方へのアドバイス |
外反母趾の手術を希望される方々には、それぞれに異なる理由が存在します。もちろんその中でも痛みを取りたいと言う理由が最も多いのですが、ときに痛みはないが見た目が気になると言った外観上の悩みのみで手術を希望される方も少なくありません。女性であれば見た目が気になる気持ちも良くわかりますが、見た目だけで手術を行うと時に思わぬ落とし穴に陥ってしまうことがあるので注意が必要です。 保存療法に抵抗する痛みや歩行障害などで日常生活に支障がある場合には手術を検討しますが、その際、患者さんご自身が外反母趾のためにどんな悩みや障害をもっているのか、言い換えると手術によって患者さんはどのような治療効果を期待しているのかを十分に理解した上で適切な術式を選択し手術を行うことが大切であると考えています。 つまり、外反母趾の治療でまずやるべきことは自分の足に合った適切なインソールを作成することで、これにより患者様が手術をしなくても済むようになるケースは日頃数多く経験することです。 もしインソールによる治療のみでは効果が不十分な時には、最終的に手術が必要となりますが、先にも述べましたように、術後のアーチ保持のためにもインソールは必要となりますので、保存療法として最初に作ったインソールが無駄になることはありません。 |
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以上、外反母趾を中心に足について話して参りましたが、足にはこの他にもさまざまな疾患がありますので、足について何らかのお悩みをお持ちの方、また手術を希望されている方は是非一度、当院「足の専門外来」をご受診頂き、適切な診断と治療を受けられることをお勧めします。
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吉野整形外科「足専門外来」は院長の診察日であれば いつでもご受診になれます。 毎週木曜午前と第1・3・5土曜日を除く診察日に外来を担当しておりますので お気軽に御相談下さい。 ※ 予約の必要はございません。 尚、手術が必要と診断された場合でも、 当院関連病院へ院長自らが出向し執刀しており、 術後は引き続き当院でフォーローアップしておりますので どうぞ安心して御相談下さい。 |
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